コミュニケーション哲学 〜福島県の災害を振り返って〜
コミュニケーション哲学
〜福島県の災害を振り返って〜
東京医科歯科大学で開催された、コミュニケーション哲学の企画。講演者は越智小枝先生、主催者のチーム コテツ初の企画によんでいただきました。
代表の岡田先生とは、北海道大学 科学コミュニケーター養成事業でスタッフとして勤務していた時代にお会いしました。高校教諭をされているはずなのですが・・・
いつも、日本全国を飛び回られている多忙ぶり。
今日はどこを飛び回られているかFacebookで確認するのが楽しみな今日この頃。笑
そんな岡田先生にご縁をいただいて、今回、チームコテツのちょりさんや大学生の押久保さん、高校生のみなさんと企画に携わらせていただきました。
事実ではなく、奥行きを知ってほしい
小枝先生は、科学コミュニケーションにおける「対話」をとても大切にされていました。
なぜ対話をするのか?
◯伝えたい人が学ぶため
◯知りたい人が考えるため
◯無関心な人に知りたくなってもらうため
歴史の負の遺産を、私たちはどのように正の遺産にしていくのか。
事実は、科学的な面だけでなく、社会的な面ももっています。だから、科学コミュニケーションは正確な情報を伝えることが大切なのではなく、個人の経験などのバックグラウンドを含めて大切にする必要があります。
私たちは何と戦っているんだろう?
風評被害。実際は、放射線で亡くなる人よりも糖尿病で亡くなる人の方が多いし、非計画な非難による多大なストレスで生存率が下がっていることもわかっています。また、避難区域外の逃げ遅れの問題や避難以前に、物資がなくなって自宅で衰弱死する高齢者の問題もあります。
大きくは取り上げられませんが、医療機関で働くのは8-9割が女性なので、災害が起こると子供を守るための行動にでたり、夫の仕事で住まいを外に移動したり、医療崩壊が起きているのは明らかです。放射能の被害よりも原発事故で起きた健康被害の方がはるかに大きい。
けれども、これらは、災害が起きる前からあった問題で、災害によって顕在化したに過ぎないです。
大災害後には負の連鎖がはじまるのは目に見えている。
それは全世界の被災地に共通していること。
多くの災害を経験してきたわたしたちは
悪循環を止められるはず。
政府は迅速な対応を
研究者はすぐに正確な情報を提供を。
迅速に悪循環をとめて、
つまり、災害復興はまちづくりのチャンスなのです。
未来の災害に向けて
災害をきっかけに、支援職につく人もいます。災害を経験したからわかることがあります。
弱者の見える化や災害前の健康促進、逃げ遅れの対策…
災害時には教養が必要になるので、論理力や想像力、思考の幅を広げることは、今すぐにでも鍛えておくほうがいい。
災害は世界中で起きている。
経験したからこそ知れること、伝えられること。
知識から知恵へと普遍化していくことが求められています。それは単純化ではなく、深くひろく知恵にしていくことが必要になります。
わたしたちは問い続けるために、敵を知るだけでなく、己を知ることが大切です。
小枝先生のお話を聞いて
向き合うことがしんどいと思いがちなこともきちんと話してくださったこと、そして、そのことを受け止めた上で、災害をチャンスと言い切られる強さを感じました。
そして、真正面から向き合ってきた方なんだなと感じました。
グラフィックファシリテーション担当からのフィードバックの時には、そのことを伝えて、会場から疑問や気づきの付箋紙を出してもらいました。
そこででた内容については、グラフィックを確認していただければと思います。
コテツのプログラムでは、その後、QFT(質問づくりのワーク)を行い、福島に対して問いを立てました。
そして、グラフィックファシリテーションミニ講座を行って、その日1日の気づきをグラフィックとして共有してもらうという新しい試みを行いました。
とても面白い問い、気づきがたくさん出ていたので、詳しくはコテツのページへ。
https://m.facebook.com/319146118555943/
私自身は「私たちに残ることって何」ってすごくシンプルで、胸に刺さる問いだと感じました。
私たちは何を終わらせて、
何を大切にして、
何を残すのだろう。