大切なものをたいせつに

北極海航海に2度いくほど海が好き。 疑問に思ったことは自分の目で見て感じて確かめたい、と17歳でイギリスに1年間滞在、その後、北極海研究船に2度乗船する。メーカー勤務、大学勤務の中でその場で「話の見える化」を行うグラフィックファシリテーションと出会う。会議、ワークショップ、講演会、教育現場等、これまでに500以上のの現場に携わる。発達凸凹への活用を中心として、組織開発や教育現場での活用法を探求している。 https://www.tagayasulab.com/graphicfacilitation

無作為抽出ワークショップ「未来をつなぐエコプラザ」 @東京都武蔵野市

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東京都武蔵野市環境啓発施設エコプラザ (仮称) を考える無作為抽出市民ワークショップにグラフィックファシリテーションでおじゃましてきました。

 

実は、今回、特別な思い入れがありました!

 

去年の夏、AoHで出会い、環境について話をしていた郁さんに「環境に関するワークショップだから、さよさんを思い浮かべました」と声をかけていただいていて。理系だったことが生きるこの分野で、しかも郁さんがファリシテーションを担当される中で、一緒に場づくりさせていただけることが楽しみでした。

 

sayo-dem.hatenablog.com

 

 

元々ゴミ処理場だった場を壊さずに、環境啓発施設エコプラザ (仮称) にする

 

ゴミ処理は市町村の仕事。始まりは、昭和30年。三鷹市内に建てられていた焼却場での武蔵野市三鷹市のごみの共同処理が問題となり、三鷹市民による武蔵野市のごみ搬入阻止に至りました。このことがきっかけで、武蔵野市内への焼却場設置が必要になりました。その後「ゴミ処理所をどこに建てるんだ!」とゴミ戦争と呼ばれるほどの論争に。その中で、武蔵野市では徹底した市民参加による議論が実施されてたそうです。昭和59年には、なるべく目立たないように木々に覆う形で武蔵野市クリーンセンター(今回エコプラザとしてプラットホームとして生まれ変わる場所)が建てられたというストーリーをお聞きしました。

 

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そして、今。見えるオープンな形で平成29年4月にクリーンセンター敷地内東側に新工場棟が本稼働しました。同時に、これまで使われてきた旧クリーンセンター(正確には旧事務所と旧プラットホーム)を壊すのではなく、エコプラザ(仮称)として残すことにしたそうです。

 

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かわいい模型。左側が昔からある旧クリーンセンターの一部を再利用したエコプラザ(仮称)。

右側は新しくできたクリーンセンター(とってもおしゃれ)

 

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新クリーンセンターの写真

 

 

何十年も紡がれてきた住民のみなさんの想いを残したり、想いを未来につなげる場としてプラットホームにしていこう。と、今年の2月から19回にわたって議論を重ねてこられました。

 

今回、私が関わらせていただいたのは、エコプラザ(仮称)の基本的な考え方についての意見を市民からもらいエコプラザ(仮称)で市民としてどのようなことを実現したいか、どのように関わりたいかを考えてもらう機会としての無作為抽出ワークショップでした。

 

 

無作為抽出ワークショップ

私自身、実は参加者側で無作為抽出に参加したことがあるけれど、関心のある人もない人もいる中で、必要な声、小さな声が出せる場にするのはとても難しい。と感じていました。当時、自分に自信のなかったわたしは声の大きな年配の方に気を遣ってしまい、何も話せなくてすごく居心地悪かったのを覚えています。

 

そんな経験もあり、グラフィックファシリテーションを通じて私自身がこの場で大切にしようと思ったことはこんなことです。

 

・耳障りの良いいい事ばかりだけでなく、市民の声として必要な声(ネガティブなことも含む)を受け止める雰囲気づくり

 

・市民同士が対立したり攻撃するのではなくて、ひとりの市民の声として安心して声を出せるような場への貢献

 

・グラフィックは、遠くから見る方にも見えるように大きく、そして絵を多いめに描いて、発言された方を受け止めているということがリアルタイムに伝わるようにする

 

・参加者ひとり一人の温度差だけでなく、主催者側との熱量の差を繋ぐ

 

・どんな意見が出てくるか分からない場。主催者の方の不安を減らすことは難しくても、グラフィックを描きながら相づちをうったり、参加者の声を聞きにいったり、待ったり、グラフィックの場をホールドする力を最大限活かして安心を増やす

 

・グラフィックはできるだけ自分の解釈をいれない。構造化しない。

→参加者が話したままを模造紙の上に残して、後日クリーンセンターを訪れた人も意見を言いたくなる余白を残しておく


また、お一人で来られている方が共にワークショップをする空間。

 郁さんが多様な市民が集まるファシリテーターとして場をホールドされている間、ホールドするだけでも大変なことなので、私としては、特に、進行すると共に起きてくる参加者とファシリテーターとの空気感のズレや参加者側から生まれてくる違和感を察知しながらファシリテーターに伝える役割をとらせていただき、いつもよりも参加者の輪に入って話してみたり、参加者の声をテープルの模造紙に描いて、描き方をさりげなく実演したりしました。

 

 

施設見学とワークショップ

この場は、10年間新クリーンセンターの設立に関わってこられた木村部長のお話にはじまり、そして、丁寧に参加者と向き合い言葉を選びながら10年分の想いを伝える木村部長のご挨拶で終わりました。

 

大まかなタイムラインは、ワークショップの主旨やエコプラザ(仮称)の説明、施設見学、そしてワークショップという順番でした。

 

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 クリーンセンターを見学している間も木村部長がとっても熱をこめて説明してくださりました。

 

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ゴミを撹拌している様子もみれるガラス張りの施設。


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セメントとして利用される様子も見れました。

 

 

個人的な感想として、木村部長がとっても素敵な方だった。

10年分の想いがあるからこそ伝えられることを、押し付けるでもなく、「難しいよね。」「答えがないよね」「これからもつくりながら考えていくんだよね」と市民と同じ目線にたって余白を残しながら話てくださり、なんだか応援したくなる。私はすっかりファンになっていました。

 

 

エコプラザ(仮称)はなんともたまらない廃墟感

エコプラザ(仮称)は地球温暖化を背景にごみをはじめ、資源、エネルギー、緑、水循環、生物多様性など、多様な環境啓発の拠点施設として、市内全域へと環境に配慮した行動を促す施設です。

 

エコプラザ(仮称)は旧クリーンセンターの一部を利用していて、この大空間はフリーゾーンとして活動成果、市民活動団体の企画展などを実施したり、子ども達が遊びながらエコを学んだり、廃材ワークショップや廃材ストック棚などを設置したものづくり工房ゾーンとして活用する予定。


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何もかもつくり込まれた建物が増える中で、このただただ広い大空間と自由に汚しても良い空気感。わたしは大好きでした。


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この他にも、アーカイブや市環境啓発部門やコミュニティカフェ、情報コーナー、スタディルームの設置を予定されています。

 

 

参加者の声

参加者は無作為抽出なので、普通のイベントみたいに自分の興味関心で来ている人ではなく、年齢も性別も職業もバラバラ。一人で参加する方ばかり。ワークショップにも慣れていない方がほとんどの中で、思ったことを声に出すだけでも本人にとってハードルが高い。そんな中で、一つでも安心を増やし、意見を言ってもいいんだと思える場。こういう場のワークショップにグラフィックが必要だと判断して活用してくださる郁さんと出会えたことに改めて感謝しました。

 

参加者の様子を見ながら、「参加者に声を出してもらった方がいいね」「今、場が変わってきたね」と目の前の人に寄り添いながら必要な変更をして進めていく。ワークショップ中もこまめに話しながら進行に伴走させてもらうことができました。ワークショップの後も気づいたら4時間くらい振り返っていて、現場の実践を積み重ねておられるからこその気づきにたくさんの刺激をもらってほくほくして帰りました^^


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答えを出すことが目的ではないワークショップだから「いいね、いいね。」だけでなくて、「これはどうなの?」「そもそも・・・」「・・・とはいえさ」といった声も大切だから。それが出てくる場でした。


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中学生からお孫さんのおられる方まで。多様な方が同じテーブルで話されていました。


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万能薬はない、いろんな副作用のことも考えていく必要がある中で、この短時間の中で自分ごとにしていく方が何人もいて、エコプラザ(仮称)と共に暮らしていく景色をイメージできる時間でした。


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まだまだ答えはないんだよね、と私たちに余白を見せてくださる木村部長に会いにいくだけでも意味がある気がしていたり。この余白に何が生まれていくのかとっても楽しみで、少し熱を入れて書いてしまいました。

 

あくまでも鈴木の解釈の入った文章です。偉そうな表現になっていたり、主観が入りすぎていたら申し訳ありません。グラフィックに関しても、もっともっと余白をつくれたらな、や、文字を減らせたら…等、心の中では自分のグラフィックの未熟さへの葛藤は絶えませんが、こうして実践の中での経験をすこしずつ蓄積していくことに全力を注いでいます。

 

ぜひ、直接足を運んで、自分の肌で感じてください^^

 

実は1年に2万3千人の方がすでに訪れている新クリーンセンター。

この面白さは、しばらくしたらさらに注目を浴びる気がしています。

新クリーンセンター、いつでも見学できるそうですよ。

 

施設案内 武蔵野クリーンセンター|武蔵野市公式ホームページ