大切なものをたいせつに

北極海航海に2度いくほど海が好き。 疑問に思ったことは自分の目で見て感じて確かめたい、と17歳でイギリスに1年間滞在、その後、北極海研究船に2度乗船する。メーカー勤務、大学勤務の中でその場で「話の見える化」を行うグラフィックファシリテーションと出会う。会議、ワークショップ、講演会、教育現場等、これまでに500以上のの現場に携わる。発達凸凹への活用を中心として、組織開発や教育現場での活用法を探求している。 https://www.tagayasulab.com/graphicfacilitation

フォーラム「多様性が拓くみらいについて考えよう!」@同志社大学 無事に開催終了しました。

凹は価値だ

 

参加者がくるかわからない。

でも、発達凸凹の人も家族も研究者も、みんな一緒に対話することで見えてくるものがある気がする。と始めた対話の場。 

第1回は参加者2名でした。

 

毎月「One day cafe.kyotoという発達凸凹の?について語るcafe」を続けてきて、今回は2年経つのを節目に、凸凹フューチャーセンターフォーラムとすることにし、ドタバタ(本当にドタバタバタバタ・・・・)と場づくりを進めてきました。

 

毎回、参加者の対話をグラフィックでその場で見える化して、そして、大切なエッセンスをグラフィックでハーベスト(収穫)して、蓄積し、次に繋げてきました。

 

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そして、2018年8月25日に、障害当事者、研究者、支援者、先生、会社員、お母さん、お父さん・・・こどもからご年配の方まで、80人の対話の場となり、同志社大学で開催させていただくことができました。

 

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 実現したのは、たくさんの人に支えてきてもらったから。  

もしも、私たちが完璧だったら、誰も助けてくれなかった。

自分たちの凹を隠さずに来たことで、不完全だからこそそこに余白が生まれて私たちにはもったいないような人たちが力をかしてきてくださった気がします。

 

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完璧じゃないから助け合える余白が生まれる

 

当日のことを振返る前に、一番に感謝の気持ちを伝えたい人、凸凹フューチャーセンターのみーにゃん。

 

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浮き沈みのあるメンバーをいつも笑顔でホールドして、優しく待ってくれる。みーにゃんもまた凸凹があるのに、それを強みに変えてしまえる魔法使いみたいな大好きな人。完璧じゃないことを素直に外に見せて、その熱い想いでいろんな人に助けられながら次々に夢を叶えていく人生の先輩。

 

今回、二人でのCOファシリテーション&グラフィックファシリテーションにしました。

 


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私一人では、参加者の中には鈴木と合う人合わない人がいて、ここに集まる人がみんな心地よく過ごせるために、みーにゃんにも一緒に場をホールドしてもらうことで、より安心して過ごせる場を目指しました。

 

二人でのcoファシリテーションは、この前参加した世界のグラフィックファシリテーション大会で見て感動きたことの一つ。すごくいいけれど、簡単ではないことがわかったので、今後もっと練習していきたいことの一つになりました。

 

グランドルール

 

2年前から変わらないルール

 

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今回初グラフィックファシリテーションに挑戦してくださった岡さん作

 

まずは自分がしんどくならないように自分を大切に。なぜか日本人は、椅子にじっと座ってなきゃ!みたいな雰囲気があるけれど、走り回ったって転がったっていい。まずは、一人ひとりが心地よく過ごしてほしい。

 

そして、人の話をよく聴く。だけじゃなく、自分の声もよく聴いてほしい。特に、普段支援職についている方は、自分のことを後回しにして人の話を聞く姿勢になって自分の声が後回しになってしまう人も少なくないから。

 

そして、グラフィックファシリテーションは「誰が話したか」ではなく「何を話したか」を描くように、ここでは個人が特定される形では残さない。だから、だれもが背負っている役割「支援者」「当事者」「研究者」「お母さん」「お父さん」「恋人」をここでは手放すことができて、誰もが一人の人として話すことを促してくれる。

 

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3人の魅力的なゲストの協力

 

キークエッションをくださった同志社大学総合政策科学研究科ソーシャル・イノベーションコース客員教授の関根 千佳先生

 

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ゲストトークとして話題提供をして下さった京都教育大学の小谷先生

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尼崎ENGAWA化計画代表藤本遼さん、

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そして、自分の考えや気づきをこの場に共有してくださった参加者のみなさんと共につくりあげる時間。

 

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 お二人からは、終了後に、このようなうれしいメッセージをいただきました。

www.facebook.com

 

 

www.facebook.com

 

 

 

すべては正しい、ただし一部として

 

どなたにゲストに来ていただくか。何ヶ月も前から悩みました。

私自身、過去に研究者である時期もあり、また、支援者でもあり、当事者でもある。また、場を創る人間でもある。研究は、発達凸凹の特性を扱うけれど、人は生きて行く上で、幸せや感情を揺れ動かすような経験が積み重なって成長していくんじゃないかと感じていて。人間ってきっと「わー、幸せ」って思う瞬間を目指して、生まれてくるけど、長生きしたって3万日しかない寿命。46億年の地球の中で、本当に一瞬でしかない。楽しいことも悲しいことも一人占めするにはもったいなくて。どれだけ特性を生かした仕事ができても、どれだけ支援してもらって暮らしが楽になっても、一人だと、時々孤独。だからしんどいこともたのしいことも、共感したり、時々ぶつかったりする人間の関係性の中で生きていると感じるんじゃないかな。

 

そんなことを考えながら、支援や研究の視点にも、当事者の見えない「想い」や「気持ち」を大切にする「方法」がもっと広がればいいなと感じていました。

 

つまり、密かに期待していたのは、「一見みんな違うことをやっているように見えるけど、やり方が違うだけで同じ方向を目指している」ということを、そこにいる人達の心からでてくる言葉として聞けること。

 

これまでの2年間で、発達障害者から、定常発達の人への「いいよね普通で」という差別を聞くこともあったし、支援者がつくる「支援温泉」のような、障がい者が自ら解決する力を搾取するような支援も見てきた。でも、全部全部、お互いの「生の声」「思い」を聞く機会がないから起きている出来事のような気がしてきた。

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ゲストトークの話題提供と、参加者全員での対話の時間

 

今回、関根先生からキークエッションをいただき、さらに、小谷先生と藤本くんからの話題提供をグラフィックファシリテーションとして描きました。

 

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さらに、二人の話を聞くことで参加者から湧き上がってくる「問い」をグラフィックファシリテーションに書き込んでもらい、問いの雨を降らせました。

 

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この時に、2,3人の少人数になって対話しながらグラファシの前で話すことで、より深まったり、まだ言葉にならない想いが人が話すのを聞きながら言語化されたり、自己内省が起きることを期待して。

 

そして、休憩時間を挟み、そこにいる人が全員参加してかき込んだグラフィックファシリテーションを見ながら、前半のゲストトークへの振返りをしました。自分で描いた文字が入っているグラフィックはもはや人ごとではなく、自己拡張として少しずつ自分ごとになっていく。みなさんが一体化していくのを感じました。

 

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そして、後半のOSTで、その問いを持って参加者から話したいテーマを出してもらう。という流れでした。

 

 

 

OST(オープンスペーステクノロジー)とそうさん

 

今回のフォーラムが決まって、すぐにそうさんから「何かお手伝いしましょうか」と声をかけていただいて。

 

ABDの創始者で、年齢問わずいろんな人から親しまれているそうさん。厚かましいと思いつつも、OSTファシリテーターをお願いして本当に良かった!

 

そうさんだから生まれる温かい空気感と、パリッとしたファシリテート。わたしにはないから憧れるし、だからこそ一緒につくれて楽しいと感じる時間。

 

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参加者から出されるテーマは、すぐに10テーマ出てきました。そして、テーマ毎にわかれてそのテーマについて対話しました。

 

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参加者が湧き上がってきた「この場で話したいテーマ」を描いているところ

 

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トーキングオブジェクト(サークルの真ん中に置く対話のシンボル)とはバザールカフェさんにお借りしたレインボーのくまのぬいぐるみ

 

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一人ひとりが、今この瞬間に話したいテーマをサークルの真ん中にきて発表しました 

 

すごくみんなが真剣に対話する場だった。

 

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 テーマ毎に別れて対話しているところ

 

そして、ゲストのみなさんが本当に魅力的で、自然と参加者と一緒になって、同じ目線で真剣に考えたり悩んだり笑ったりする場でした。

 

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答えのないテーマだから、みんなで対話を紡ぎながら考えていく。

 

 最後のクロージングでは、全員で今日の気づきや学びを一言の単語で表現して終えました。

 

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ここにいる一人ひとりの人の想いが言葉や身振り手振りになって出てくる場であることが多様性を表現していて、場の多様性が、一人ひとりのうちなる多様性を引き出しているように感じました。

 

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何度も何度も伝える練習をして、私たちは生き方を学ぶ

 

ボール投げだって、跳び箱だって練習が必要

 

自分の凸や凹に気づくにも時間がかかるし、それを人に伝わるように伝えるのも、一回で完璧に伝えるのは難しい。

 

「凸凹を生かし合う」「安心安全の場をつくる」って言葉で言うのは簡単。それができるようになるために、ファシリテーションを学んだり、コーチングを選ぶ人もいたり、対話の手法を模索したり、グラフィックファシリテーションで内省したり、自分のあり方に気づいたり、気づいて変わろうとしたり、何かを手放したり、人との関係性の中で練習していく時間が必要。

 

私たちは人よりもちょっと凸凹の差が大きい。だから、大人になりながらも理解できないことがたくさんあったり、むじゃきにびっくりするような言葉を発してしまったり、人に迷惑をかけることも少なくなくて。そのことで、私自身は、自分を責めて生きてきました。

 

社会に出てからが特に苦しくて、

日本の社会いると、完璧以外を排除する空気を感じて、全てが本番になっていて、そしてマルチタスクを求められて息苦しい。

 

だから、私たちは、凸凹のある人もない人も、生きるための「練習」を安心してできる場をつくりたい。

 

実際にこの数年「練習」を繰り返してきて感じていることは、多くの人が、組織や会社、所属する箱の中にいるために、自分自身の中にある多様性に蓋を閉めている気がするということ。凸凹フューチャーセンターに来る人で、涙が出るほど感動して帰っていくのは、発達凸凹当事者よりも、社会や組織の中で、ありのままの自分や、心からの感情・言葉に蓋を閉めることに慣れてしまった人たちの方。ストレートに思ったことしか言えない凸凹さんに触れて、雷に打たれたような衝撃を受ける人もいる。

 

これって、会社や組織にとっては都合のよい人かもしれないけれど、日本社会全体の損失なんじゃないだろうか。

 

 

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安心安全な場

 

今回、一言も安心安全という言葉は使っていないのに、参加した人から「安心して居られました」「休職中なんだけど、家を出なきゃ。と思って。このイベントを選んで良かった。」「自分の言葉で話しができました」といった言葉をもらいました。

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凸凹フューチャーセンターがつくる場には、障害を持った人もくるし、休職中の人もくるし、そうじゃない人もきます。

 

障害を持った人がちやほやされる場をつくりたいわけではないし、愚痴をこぼすだけの場をつくりたいわけでもない。一人の人として、お互いが尊重しあって対話する場をつくりたい。そんな想いで、プログラム設計を変えたり、新しい対話の手法を取り入れたりして毎月続けてきました。

 

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マイノリティの人も安心して話せる場づくり

 

私は今、見えない「願い」や「想い」を描くことを通じて、この世界に携わっています。でも、これから描くのをやめるかもしれない。し、描きながら場をつくるのかもしれない。

 

誰もが老いれば障害者のような立場になるし、世の中に障害を持った人はたくさんいるはずなのに、その方々が来たいと思えない場づくりを私たちはしてないだろうか。という問いを、今回のフォーラムでもらったから。

 

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 私たちがつくるモノや場は、誰かを悲しませてないだろうか。そもそも、自分ごとにしてもらえてるだろうか。それって本当に人に寄り添った場なんだろうか。商品なんだろうか。まちづくりなんだろうか。今回新しく生まれたこの問いは、しばらく大切に抱えていきたいです。

 

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ただの有志団体のイベントで、ゲストのみなさんのご厚意に支えられての開催でした。本当に感謝しています。協賛してくださったエンカレッジさん、成人発達障害サロンしぇあさん、そして、展示ブースに出展協力してくださったみなさん、この場には来れなかったけれど広報や運営面で応援してくださったみなさん、ここでひとり一人のお名前を挙げて感謝の気持ちをお伝えすることはできませんが、心から感謝しています。

 

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展示ブースで紹介している様子

 

みーにゃんが作成してくれた素敵なチラシ

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神戸自助会こねくとのしょーこさんがプレゼントしてくれた看板

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「話の見える化」グラフィックファシリテーションや運営準備で、場をホールドしてくれたプロボノのみなさん 

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考えすぎなのか?

 

学生の頃から、よく、「さよは考えすぎ」と言われてきてしんどくなってきた。でも自分のしたいことを進めていけば、私より考えすぎの人がいっぱいいます。笑

 

私は私でしかないから。嫌いなことも含めて。

人生、丸々っと練習の連続。

 

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私は今、みんなが憧れるような会社を辞めて、

お金もない、肩書きもない。想いだけがある。

 

 

 

こんな私に、いいね。と言って一緒に力を合わせてくれる人がいることに心から感謝しています。


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