大切なものをたいせつに

北極海航海に2度いくほど海が好き。 疑問に思ったことは自分の目で見て感じて確かめたい、と17歳でイギリスに1年間滞在、その後、北極海研究船に2度乗船する。メーカー勤務、大学勤務の中でその場で「話の見える化」を行うグラフィックファシリテーションと出会う。会議、ワークショップ、講演会、教育現場等、これまでに500以上のの現場に携わる。発達凸凹への活用を中心として、組織開発や教育現場での活用法を探求している。 https://www.tagayasulab.com/graphicfacilitation

「納税者になれた喜び」オムロン京都太陽 太陽の家の見学に行ってきました。

前からずっと伺いたかったオムロン京都太陽 太陽の家。

同志社大学プロジェクト科目の授業の一貫として障害者雇用の現場を見学してきました。

 

 

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オムロン京都太陽株式会社は、オムロン株式会社と社会福祉法人太陽の家の共同出資会社として設立しまし た。企業と福祉の両面をつなぐ役割を果たすことで、障がい者の雇用就労の機会をつくり、仕事の安定供給 と事業経営の安定を図ります。そして障がい者が、自ら働くことにより生きがいが見いだせる環境づくりに努めます。

(HPより)

 

 

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「障がいのある私たちにとって安全で快適な場所は、誰にとっても安全で快適な場所」という考えのもと運営されています。

 

本当にその通りだなぁと思ったのは

物理的なことだけでなく、対話の場でも、障害を持った人が安心して過ごせる場は、誰にとっても安心して思ったことを話せたり、質問できたらできる場だったりする。

 


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「No Charity but a Chance!」を理念に掲げる太陽の家創設者 中村 裕と、「われわれの働きで、われわれの生活を向上し、よりよい社会をつくりましょう」を理念に掲げるオムロン株式会社創業者 立石一真の出会いによって、1972年、大分県別府にオムロン太陽株式会社が誕生しました。その後1985年、京都市オムロン京都太陽株式会社が誕生しました。

 

1971年、今から約50年前、その当時、税金を使う側だった障害者に働く喜びを感じられる場をはじめてつくったのがオムロン太陽株式会社だそうです。

 

創始者の中村社長が、何百社もまわり、「障害者が働く場なんてビジネス現場につくれないよ」と断られ続けながら、ようやく出会ったのが、オムロン株式会社の立石社長だそうです。

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一人ひとりの能力を引き出せるよう、障がいの程度や内容を把握し、効率と生産性も兼ね備えた、誰もが働きやすい環境づくりに取り組んでおられました。

 

 

印象的だったこと

 

普段の生活では気づけないことを、様々な角度から感じることができました。

 

●作業する方の特性にあわせて工場内の器具がつくられていたり、必要な補助具を障がいのある技術者が中心となって社内で製作している

 

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バリアフリーは当然のことで、障がい者自らが改善を行い、自分たちのできる仕事の範囲を増している

 

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障がい者の健康管理は大変重要なので、医務室だけでなく、作業場のすぐそばにも常に普段の様子を知っているスタッフがいる状態

 

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●会社だけでは見えないこともあるので、家族の協力も得てチェックシート等で連携をとっている

 

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障害者雇用が義務づけられている今、軽度障害者から企業は採用していく。

オムロン京都太陽は、あえて重度障害の方をより採用できるように創意工夫されている。


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当たり前の話ですが、ビジネスとして運営している限り、赤字にはできない。普通の工場と変わらない。

 

だから

No Charity, but a chance!


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最後に。

当初、障害者雇用が始まった頃、そればで支援されるか家にいるかしか選択肢のなかった方が初めて源泉徴収をもらったとき、「納税者になれた」と喜ばれたそうです。「社会での一人前だと感じれた」喜び。

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私の周りには、精神障害で名前のない生きづらさと共に生きている友人がたくさんいます。

 

大きく3つに分けられる障害者は「身体障害」「知的障害」「精神障害」。

その中でも、精神障害は長期的に体調を崩しやすいために、工場では雇用しにくいのです。一方で、能力の高い人や、ぶっとんでいる人が多くて、一緒にいて楽しい^^

 

今回、見学して思ったのは、確かに精神障害の人は、コントロールされた組織の中では雇用されるのは難しそう。一方で、カオスの中に平気でいれたり、ずば抜けた集中力で仕事をこなすこともできる人がいるので、3日働いて3日休む。みたいな働き方ができる場をつくればいいのではないか。

 

長期的に体調を崩すなら、3人で1人分としてお互いに体力を補い合って働けるような場をつくればいいのではないか。

 

もしかして、経営者になるのが実はあっているんじゃないか。

 

答えはないけれど、発達凸凹の多動性を活かしてファシリテーション能力を発揮している人もいるので、そういう能力に着目した組織を描くことを少し夢見ています。