大切なものをたいせつに

北極海航海に2度いくほど海が好き。 疑問に思ったことは自分の目で見て感じて確かめたい、と17歳でイギリスに1年間滞在、その後、北極海研究船に2度乗船する。メーカー勤務、大学勤務の中で、右脳を活性化させ、価値観の違いを超えて場を一体化させるグラフィックファシリテーションと出会い、その効力に魅了される。議論の可視化や、ワークショップ、講演会など、これまでに300枚近くのグラフィックを描く。現在は、発達凸凹への活用を中心として、組織開発や教育現場での活用法を探求している。北海道大学大学院環境科学院 修了。

発達障がいと右脳活性の効果に関する論文

発達障がいについての勉強を始めて、6年。

高専の授業の中で、「発達障がいです。何かサポートしてもらえますか」と学生が相談にきました。そのことをきっかけに、文字の板書が苦手なら、どこかで見たことがあった、絵と文字で描く「あれ」なら分かりやすいのかも?と、描きはじめました。当時は、ファシリテーショングラフィック(以下ファシグラ)の呼び方も知りませんでした。

 

国立明石工業高等専門学校

防災リテラシーの授業

https://www.akashi.ac.jp/csee/防災リテラシー授業

 

 

One day cafe.kyoto 「発達凸凹(発達障がい)の?について語るcafe」でファシグラを活用しはじめて1年以上が経ちました。

 

One day cafe.kyoto

https://m.facebook.com/onedaycafe.kyoto/

https://onedaycafekyoto.wixsite.com/home

 

発達障がい当事者の対話において、話しすぎる人や、場面寡黙が起こる人、人前で話すのが苦手な人、記憶力が極端に短い人、このようなタイプの方の対話において、ファシグラが助けになっていると感じるようになりました。

 

しかも、毎月継続して通っている当事者に関しては、人前だまったく話せなかった人が、紙を見ながら話すようになったり、話す能力やまとめる力、人によっては、人前で話す力まで養われてきたように感じるのです。

 

ファシグラは右脳の活性化につながると言われています。さらにその場で対話の内容を絵と文字をつかってリアルタイムに描くので、忘れっぽい特性があっても、話した内容を確認しながら対話できるので、安心してその場にいられます。

 

この気づきをそのままにしておけない気がして、科学的な証明ができるのではないかと勉強してきました。そして、ようやく何か見えてきた気がするので、少しずつまとめていきたいです。まずは、役立ちそうな文献を順番にまとめていくことから。

 

そして、できれば、発達凸凹の強みを伸ばす一助としてファシグラを活用することで、今まで能力を発揮できずに苦しんできた人が能力を伸ばすきっかけにできないか、模索していきたいと思います。

 

10年かかるか20年かかるかわからないけれど、頭の整理や感受性を引き出す効果もあるファシグラがもしも発達障がいの新しい支援の手段の一つとなるなら、探求したいです。

 

 

 

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【論文の概要】

 タイトル: 広汎性発達障害児の優れた能力に関わる 脳内ネットワークを解明 

 

金沢大学の医薬保健研究域医学系三邉義雄教授らの研究グループが発表した興味深いデータです。

 

発達凸凹の右脳が特定の役割を果たしていることを解明し、幼児の複雑な 脳機能発達と知的能力についての客観的な評価方法を確立できる可能性が高まりました。

 

一部の発達障害児は、言葉の意味を理解する事は苦手ですが、目で見た事(および文字)の理解においては、同等、あるいは逆に優れている傾向があることを示しました。それは幼少期(5-7歳) より既に認められている先天的とのことです。

 

健常に発達している幼児(5-7 歳)26人と、広汎性発達障害児童(発達凸凹)26人を対象として、脳内ネットワークを調べた結果、

 

発達凸凹の子どもにおいては高い読字能力を示す群は,脳の右半球後方のネットワークがより活発に活動していることが事がわかりました。

 

絵と文字をつかって、言語も交えて対話を可視化していくファシグラは、右脳を活性化する効果もあり、発達障がいの能力を伸ばしたり、本人の理解を促すために具体的な一手となるかもしれないと感じさせてくれる文献です。

 

こちらの研究は、英国の科学雑誌 Scientific Reports(ネイチャー姉妹紙)オンライン版に掲載されています。

 

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【論文より引用】

 

広汎性発達障害児の優れた能力に関わる 脳内ネットワークを解明 

Published online:25 January 2013

 

金沢大学の医薬保健研究域医学系三邉義雄教授らの研究グループは,産学連携のプロジェクト で開発した「幼児用脳磁計(Magnetoencephalography: MEG)」を活用して,一部の発達障害児は,言葉の意味を理解する事は苦手であるが,目で見た事(および文字)の理解においては,同等,あるいは逆に優れている傾向があることを示し,それは幼少期(5-7歳) より既に認められていることから,生まれながらに備わっている先天的な脳機能に由来す る可能性を示唆しました。

 

そして,特に字を読む能力は,大脳の右半球の後方部(頭頂― 側頭―後頭)の脳機能結合の高さに関係することを解明しました。今回のような幼児用M EGをもちいた脳機能評価は,幼児の複雑な脳機能発達と知的能力についての客観的な評 価方法として期待が高まります。

 

幼児用脳磁計(Magnetoencephalography: MEG)とは,超伝導センサー技術(SQUID 磁束 計)を用いて,脳の微弱磁場を頭皮上から体に全く害のない方法で計測,解析する装置であ る脳磁計を,幼児用として特別に平成 20 年に開発したものです。幼児用 MEG では超伝導セ ンサーを幼児の頭のサイズに合わせ,頭全体をカバーするように配置することで,高感度 で神経の活動を記録することが可能になりました(現在世界で 2 台のみ存在)。 MEG は神経の電気的な活動を直接捉えることが可能であり,その高い時間分解能(ミリ 秒単位)と高い空間分解能において優れているため,脳のネットワークを評価する方法と して期待されています。さらに MEG は放射線を用いたりせず,狭い空間に入る必要がない ことから,幼児期の脳機能検査として存在意義が高まっています。 今回,産学官で開発された幼児用 MEG(脳磁図計)で,健常に発達している幼児(5-7 歳)26人と,広汎性発達障害児童26人を対象として,脳内ネットワークを調べた結果, 広汎性発達障害児童において高い読字能力を示す群は,脳の右半球後方のネットワークが ガンマ波(*)といわれる振動を介して,強くつながっている事が示されました。この関 係は,健常に発達している幼児ではみられない現象であったことから,広汎性発達障害に 固有の,知的特徴に関わる生理学的指標と考えられました。本技術では,幼児に恐怖感を 与えず,わずか 5 分で,脳の機能的発達について検査を行えることから,とても簡便な検 査方法といえます。 広汎性発達障害患者群で,右脳が特定の役割を果たしていることを解明し,幼児の複雑な 脳機能発達と知的能力についての客観的な評価方法を確立できる可能性が高まりました。 

 

https://www.nature.com/articles/srep01139

 

参考:

タイトル:A Custom magnetoencephaligraphy device reveals brain connectivity and high reading/decoding ability in children with autism.(幼児用脳磁図計を用いた自閉症幼 児の読字能力の高さに関連する脳の機能結合の解明) 著者:(Mitsuru Kikuchi, Haruhiro Higashida, Yoshio Minabe et al.) (菊知充,東田陽博,三邉義雄 他)